NETFLIXのオリジナルドラマシリーズ「私立探偵ダーク・ジェントリー」

イングランドからやって来た、おかしな「全体論的私立探偵」ダーク・ジェントリーと、否応無しに巻き込まれていくこれまたおかしな人間たちの時空を超えた痛快探偵物語。

NETFLIXのオリジナルドラマシリーズ「私立探偵ダーク・ジェントリー」が面白かった。

私立探偵と言っても、証拠を固めて犯人を突き止めて事件をクールに解決する訳ではないので、タイトルから想像して硬派な探偵ものを想像して見てしまうと不満タラタラになります。

注目するべきところを先にお話しすると、原作はかのダグラス・アダムス。そう「銀河ヒッチハイク・ガイド」シリーズの生みの親で速い車とカメラとApple Macを愛した、無神論者の作家です。

ということは、お茶目でリズミカルでウイットにとんでいて、なおかつおふざけが過ぎて、言い得て妙で、端々に宇宙の真理が垣間見えるという壮大なお話しなのです。

主人公のダーク・ジェントリーは「全体論的私立探偵」(すでに意味不明)であって「全ての出来事はつながっているんだ」という確固たる彼なりの信条に基づいて行動していく。だからこそ、そこに第三者が絡んでくると(というかダーク・ジェントリーが勝手に絡んでくるんだけど)ちょっとばかり迷惑なことになってしまう。

シリーズの第一話だけ見ると、怒涛のごとく物事が展開していって、何ひとつお話が見えてこない。

見えてくるてくるのは、ダーク・ジェントリーのナヨナヨとしていて早口でイギリス英語をまくし立てる憎めないキャラクターと、可愛い黒猫、そして自分では望んでいないのに物語に巻き込まれていくことが得意で、いつの間にか解決するために必要な重要人物になっているフロド、いやちがった、イライジャ・ウッドのあの八の字眉とどんぐりお目々。

ぜひ、最終話まで見て欲しい。最終話まで見ないとこのお話の面白さはわからない。シリーズ後半の怒涛の「全ての出来事はつながっているんだ」を見届けると第一話の欲求不満は全て気持ちよく解消されます。

ダグラス・アダムスだから、出来事のつながり方も普通じゃなくて爽快です。

あんまり話すと興ざめするのでこのくらいにしますが、時間にも心にも余裕があって、イギリス英語が嫌いじゃなくて、物語の早い展開や、SFチックなお話しにアレルギーがなくて、ふざけるなそんなことある訳ないだろ!とか堅苦しく考えるたちじゃなくて、物理の法則に反したことは一切認められないとか、時間は一方向にしか絶対流れないだろとか思う人じゃなかったら、絶対楽しめるお話しです。

そのほかの登場人物(好みによる抜粋

  1. 絶対死なないダークジェントリーを狙う殺し屋の女
  2. 知識はすごいけど実践になると引けちゃう凄腕ボディガード
  3. 4人組なのに「荒くれ3人組」と名乗る謎の集団
  4. 組織に恐ろしく忠実であんまり頭の回転が良くない撃ちたがりのCIA
  5. コーギー

時として猫はサメになるのです。人間が悪魔になるように。

最後に、ダグラス・アダムズの言葉を。

「妖精が隠れていることを信じなくたって、庭は十分美しいじゃないか」